使い方
貸倒引当金の限度額算出
貸倒引当金の期末残高ががある場合、この画面が自動的に表示されて、貸倒引当限度額を算出し最適の貸倒引当金を設定します。
貸倒引当金は、期末現在の売掛金・受取手形等の債権の貸倒れリスクに備え、その予想額を損金計上できますが、税法で定められた繰入限度額の範囲内で、野放しで引当てることは出来ません。
税法で言う貸金とは「売掛金」「短期貸付金」[長期貸付金」「受取手形」「割引手形」等で、誰かに貸していて将来お金で戻るものを言いますが、前払金や立替金、未収収益、仮払金、預貯金、保証金、敷金などは貸金に該当しません。
※割引手形残高は貸借対照表の欄外に、脚注記載の要あり。(脚注記載がないと貸金の対象外)
税法上の貸金は、貸借対照表の数字から以下ようなプラスマイナスして算出します。
1 | 会計上、回収不能になった債権を貸倒損出で処理したが、税法上認められないことから売掛金には無いが税務上の貸金に残っていることから「実質的債権額」欄でプラス設定します。 |
2 | 倒産等による不良債権は、一般債権の繰入限度額とは別枠で特別評価(個別評価)するため、通常の貸倒引当金から「不良債権額」欄にマイナス設定します。(一括評価する一般債権は約1%の限度額に対し、個別評価は債権額の50%を繰入限度額として損金計上できます。) |
3 | 該当相手先に買掛金や未払金がある場合などは、この買掛金や未払金の額を「相殺額(実説的な債権とみなされない額}」としてマイナスします。 |
以上のようなプラスマイナスした「期末貸金額(実質的な債権とみなされる額)」を算出して、これを税法上の期末貸金の額とします。
※別枠で個別に評価する個別評価の貸倒引当金繰入額は上記した一括評価の貸倒引当金繰入額に加算して参入限度額が算出されます。(個別評価は50%の額が認められます)
繰入限度額の計算について
組入限度額は、上記で求めた税法上の貸金に「参入率」を掛けて求めます。その具体的算出方法は資本金の額や業種によって区分され、次表の通りです。
参入率には「法定参入率」と「実績参入率」を選択することが出来ます。過去の実績が法定参入率以上に貸倒が発生した法人を救うために過去3年間の実績貸倒発生割合によって参入限度額を算出することも認めています。ただし資本金が1億円を超える法人は「法定参入率」を選択することは出来ません。
※「法定参入率」は業種によって次のように定められています。
※「実績参入率が法定参入率を超えることは少なく、本ソフトでは法定参入率のみを採用しています。
資本金1億円以下の法人 | 資本金1億円を超える法人 | ||
法 定 参 入 率 |
製造メーカー | 0.8% | 選択できません |
卸売・小売業 | 1.0% | ||
割賦小売業 | 1.3% | ||
金融・保険業 | 0.3% | ||
その他 | 0.6% | ||
実 績 参 入 率 |
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貸倒引当金が参入限度額を超えて設定すると、超過した金額は損金不参入となり、法人税の対象となります。本ソフトでは[次へ]ボタンを押すと自動的に以下の処理が実行われ、貸倒引当金の最適化を行います。
繰入超過額が 赤字の場合 |
繰入超過額が赤字にならない範囲内に、1万円刻みで貸倒引当金を再設定します。 |
繰入超過額が プラス青字の場合 |
繰入超過額が赤字にならない範囲内に、1万円刻みで貸倒引当金を再設定します。 |
個別評価がある場合について
不良債権等で一般債権と別枠で繰入限度額を設ける個別評価がある場合は、別表十一(一)「個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金参入に関する明細書」が追加印刷されます。ただし個々の債権者別に不良債権の明細が記載されずに印刷されますので、手書きで追加記載下さい。
設定項目について
期末残高 | 貸金の期末残高は残高試算表から自動的に表示されますが、割引手形の期末残高だけは表示されません。受取手形を銀行に割引依頼している期末の残。 ※貸借対照表の欄外に必ず脚注してください。 |
実質債権の額 | 会計上、回収不能になった債権を損出処理したが、税法上認められないことから売掛金には無いが税務上の貸金となる等の債権額。 |
不良債権額 | 倒産等による不良債権は、一般債権の繰入限度額とは別枠で特別評価するため、通常の貸金から除外します。 |
期末債権額 | 以下のように自動計算されます。 期末債権額 = 期末残高 ± 調整 - 不良債権額 |
相殺可能額 | 該当相手先に買掛金や未払金があり相殺可能な場合は、この買掛金や未払金の額を実説的な債権とみなされない額としてマイナスします。 |
期末貸金額 | 以下のように自動計算されます。 期末貸金額 = 期末一般債権額 - 買掛・未払金 |
業種設定 | 一括法定参入率を設定するために企業の業種を選択設定します。 |
個別評価 繰入限度額 |
個別評価の繰入限度額は、不良債権額の50%まで設定でき、自動計算されて設定されます。ただし保証金や担保などがある場合は実質債権とみなされる額に直してから50%の設定をしてください。 |
一括評 繰入限度額 |
繰入限度額は自動計算して表示されます。 |
現在引当額 | 決算データの残高試算表から自動表示されます。 |
追加組入額 | 参入限度額の範囲内であれば、ここで自動的に貸倒引当金の追加設定されます。 |
追加取崩額 | 参入限度額から超過している場合は、超過部分を自動的に取崩設定されます。 |
法定繰入率 | 上記法定参入率より該当参入率を設定下さい。 |
当期貸倒金 | 当期貸倒金は残高試算表から自動的に表示されます |