使い方
弥生会計の決算処理確認
楽々法人税は、弥生会計から決算処理後の会計データを読込んで、法人税確定申告書を作成します。ただし会計データに誤りがありますと、そのまま間違えた確定申告書を作成してしまいます。
ここでは、弥生会計から決算データの読み込む前に、決算仕訳処理が正しく処理されているかを、もう一度項目別に確認を行います。少し面倒でも、確定申告書作成した後で決算データの間違いに気づき、弥生会計の決算処理にまで戻ることを考えれば、はるかに効率的と考えてください。以下、弥生会計の決算処理項目について連記しますので、ご確認ください。
残高確認について
現金預金の残高が照合は、できていますか?
現金出納帳と実際の現金残高及び預金出納帳と預金通帳残高が一致しているかを確認してください。特に現金残高がどうしても一致しない場合は、雑損や雑収入を使って実際の現金に合せこんでください。また預金残高を証明しておく必要がある場合は、取引銀行に残高証明書の発行を依頼してください。
各勘定科目の残高は正しい金額になっていますか?
売掛金や買掛金・未払金は相手先ごとに照合ください。その他の勘定科目も貸借対照表を印刷して、勘定科目ごとに確認すると、思わぬ科目に残高があったり、予測と違った金額が見当たります。また仮払金・仮受金・現金過不足が試算表に残っていませんか?
費用や収益の計上は正しく処理されていますか?
- 次年度分の費用を今期計上していませんか?
- 当期分費用の未払計上を忘れはありませんか?
- 当期受け取った収益のうち、次期以降に対応する分が含まれていませんか?
- 当期受取るはずの収益が未収になっている分がありませんか?
- 当期売上のうち売掛金計上の忘れはありませんか?
- 次年度分の売上を今期計上していませんか?
期末棚卸と原価計算について
期末棚卸について
期末棚卸によって集計された「期末商品棚卸高」は現時点の商品残高を知るだけでなく、原価計算の元になる数値となって、期間中の売上額に対してどれだけの原価がかかっているかを算出する重要な金額です。
営業原価 = 期首商品棚卸高+期中商品仕入高-期末商品棚卸高 |
上記計算式の中で期末商品棚卸高だけは、会計帳簿から求められない数値で、実際の期末時点における棚卸を行って集計します。
※期首商品棚卸高は先期末の棚卸高です。
棚卸高を求める具体的方法は、決算期末日の商品在庫を一品ずつ実際の在庫数を調べてからそれぞれの単価を掛算して、合計額を算出します。掛算する単価はいろんな方法がありますが一般的には時価を反映させるために直近(最後)の仕入単価を使用します。
原価計算の決算仕訳はすんでいますか?
期末棚卸を済ませて期末商品棚卸高が集計されると、続いて原価計算の決算仕訳を行います。
上記の営業原価の算出は、損益計算書の作成時に自動的に算出され、損益計算書に表示されますが、期首商品棚卸高と期末商品棚卸高は次のようにして振り替えておく必要があります。
借方科目 | 金額 | 適用 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|---|
期首商品棚卸高 | 000 | 期首商品棚卸に振替 | 商品 | 000 |
商品 | 000 | 商品に振替 | 期末商品棚卸高 | 000 |
- 1行目は商品の期末残高(期首繰越高がそのまま残高となっている)を期首商品棚卸高に振替ています。
- 2行目は棚卸した期末商品棚卸高を商品に振替て来期の期首繰越高となります。
- 原価計算の詳しい説明は、こちら
- 商品在庫がない法人や在庫が変動しない法人の場合は、期末棚卸や原価計算の決算仕訳は必要ありません。
減価償却資産の残高照合について
減価償却資産登録を忘れていませんか?
原則として取得価格が10万円以上の資産(建物・機械・車両・工具等)は、取得時の費用ではなく固定資産として登録し、耐用年数に応じて毎期減価償却することになっています。
減価償却費の計算方法には、定額法・定率法・均等償却(10 万円以上 20 万円未満の資産で、3 年均等償却となります)があり、さらに30 万円未満の少額資産の損金算入特例の措置も講じられています。
※小額資産の損金参入特例:資本金1億円以下の法人で、平成15 年 4月 1日から平成 24年 3月 31日までに取得した、取得価額 30 万円未満の減価償却資産は、取得額の全額を取得時点で費用として認める措置が講じられています。
固定資産の期末帳簿価額と各資産科目の残高が一致していますか?
固定資産一覧で管理している固定資産の帳簿価格は、会計システムが管理している各種固定資産の残高とリンクしているわけではありません。このため次のような処理が発生しますと固定資産一覧と総勘定元帳の勘定科目残高が一致しなくなります。
- 償却仕訳の金額が間違った場合(固定資産一覧から[仕訳書出]した場合は発生しません)
- 同一期間に重複して[仕訳書出]を行った場合(同じ期間に償却仕訳の書出し可能です)
- 償却資産の書き出しを忘れ場合(償却仕訳の書出しを忘れてもエラー表示はされません)
以上の通り、少し油断すると償却仕訳に間違いが発生し、固定資産一覧と総勘定元帳の勘定科目残高が一致しなくなりますので、期末決算時点で残高照合するよう心がけてください。照合の具体的方法は、貸借対照表と固定資産一覧の両方を次の手順で印刷します。
- 貸借対照表→ 「決算・申告」メニュー → 「決算書作成」→ [印刷]
- 固定資産一覧→ 「拡張機能」メニュー →「固定資産管理」→ 固定資産一覧」→ [印刷]
両方の勘定科目別に照合してください。
消費税の申告書の作成について
前前年度の課税売上が 1,000 万円を超えますか?
前々年度の課税売上高が 1,000 万円を超える企業は消費税の課税事業者となり、申告をする必要があります。弥生会計では、消費税設定を「課税」にしますと消費税申告書を作成することができます。
※[課税」の設定は、「設定」メニュー→ 「消費税設定」→ 「消費税設定」→ 事業者区分を「課税」に設定
※消費税申告書を作成するには、弥生会計の[ヘルプ」メニュー→ 「目次」タグをクリックし、「消費税申告書」の説明に従って作成下さい。
貸倒引当金の設定について
貸倒引当金を設定していますか?
貸倒引当金とは、売掛金等や貸付金などの債権の貸倒れリスクに備え、その見積額を計上する負債科目です。貸倒引当金繰入限度額(債権合計額の約1%)が定められていて、限度額以内の引当金は費用として認められますが、限度額を超えて引当すると超えた分は費用と認められません。またこの貸倒引当金は、毎期末に残った引当金を元に戻し、あらためて期末債権額から限度額を算出し、貸倒引当金を設定します。
ところがこの引当金は、以下に記した通りメリットは小さく、あまり設定をお勧めできません。
- 引当限度額の算定が面倒なこと
- 貸倒引当金の組入率が約1%と小さいこと
- 設定した最初の会計年度は節税になるが次年度からは債権額増加分の約1%しか引当金は増加しないこと
- 貸倒引当金は設定開始した事業年度は節税になるが、設定を廃止すると引当戻しが大きくなり増税となること
ただし不良債権がある場合は、組入れ率がその不良債権額の50%まで認められるため、貸倒リスクに備えて引当金の設定をお勧めします。
楽々法人税では、全ての債権額を集計し、引当限度額を算出します。そして限度額を超えて設定されている場合は限度額以内に戻し処理を行い、限度額に満たない場合は自動的に限度額まで引き当てます。よって引当を行う場合は期末貸倒引当金を1円と設定すると自動的に貸倒引当限度額に設定します。(引当を中止する場合はゼロに設定下さい。)
※貸倒引当金の算出方法の説明はここをクリック下さい。
※貸倒引当金の仕訳方法についてはここをクリック下さい。
税額控除(受取利息や受取配当金)について
受取利息や株式配当金の受取がありますか?
税額控除とは-------------------------------------------------
法人が預金利息を受取ったり、株式配当金の受取時に所得税が源泉徴収されています。ところが法人の場合は受取った利息や配当金にまで期末に法人税がかかり、二重課税となってしまいます。こうしたことから天引きされた所得税は法人税を先に払ったこととして法人税確定申告時に納付する法人税等から控除(又は還付)することを確定申告書で要求います。このことを所得税控除とよんでいます。
ところが、これら受取利息等の受取時における所得税分の会計処理は法人によって次表の通りまちまちです。
所得税 の処理 |
処理内容 | |
---|---|---|
所得税の 処理しない |
A | 預金利息の受取時に受取額を雑収入(または受取利息)で処理し、法人税申告時も所得税分の控除(又は還付)を請求しない。 (借)銀行預金000|(貸)雑収入000・・・受取利息 |
所得税の 処理する |
B | 預金利息の受取時に受取額を受取利息で処理し、 (借)銀行預金000|(貸)受取利息000・・・受取利息 受取利息を期末集計し、まとめて所得税分を算出して計上する。 (借)法人税・住民税及び事業税000|(貸)受取利息 000・・所得税分 |
C | 受取時に所得税を算出し、所得税の先払い処理をする (借)銀行預金000|(貸)雑収入000・・受取利息 (借)法人税・住民税及び事業税000| ・・・・所得税の先払分 |
|
× | D | 受取時に所得税を算出し、一旦法人税の等の仮払い処理し、 (借)銀行預金000|(貸)仮払000・・受取利息 (借)法人税・住民税及び事業税000| ・・・・・・・・・・所得税の先払分 法人税の確定後、控除できる場合は控除する。 (借)仮払000|(貸)法人税・住民税及び事業税000 ・・・仮払いの控除 法人税の確定後、控除できない場合は未収入金に計上する。 (借)仮払000|(貸)未収入金000 ・・・・・・・仮払いの還付請求分 |
D の方法は弥生会計で単独処理し、これとは別に法人税確定申告書を作成する方法で、楽々法人税ソフトとリンクして処理するためには、「法人税の確定後」の処理を行わずに、期末にまとめて法人税・住民税及び事業税へ仮払を振り替える必要があります。 (借)仮払000|(貸)法人税・住民税及び事業税000・・・仮払をまとめて振り替える |
◆楽々法人税システムが推奨する方法は、「B」方法です。
利息の受取時は一旦受取額を受取利息で入金処理し、期末に集計した受取利息の大きさで控除を請求するか放棄するかを判断します。
算出した源泉徴収所得税額が小さく控除の節税効果が少ない場合 弥生会計→このままで何も処理しない。 楽々法人税→当期中に受取利息から源泉徴収された所得税額はゼロに設定 |
算出した源泉徴収所得税額が大きく、控除(又は還付)を希望する場合は、算出した源泉徴収所得税額を次のように処理する。 弥生会計→受取利息を期末集計し、まとめて所得税分 を算出して計上する。 ・(借)法人税・住民税及び事業税000|(貸)受取利息000 ・・・・・・所得税分 楽々法人税→当期の受取利息から源泉徴収された所 得税額は次の額とする ・法人税所得税額 = 源泉徴収所得税額×0.25 ・道府県免税所得税額=源泉徴収所得税額×0.75 |
◆「中小企業の会計に関する指針」(日本税理士会連合会、企業会計基準委員会等の4者が共同で発表)によると受取利息や配当金等の所得税分は 「法人税、住民税及び事業税で処理する」と明確にされています。楽々法人税では「中小企業の会計に関する指針」に沿って、利息や配当の受取時にBまたはCで処理されていることを前提として処理しています。
もし法人税が零等で控除しきれなかった場合は、 しきれなかった金額を楽々法人税が自動的に「未収入金」に振り替え、還付請求します。
◆従来方式による弥生会計の決算調整処理
利息等の受取時点における源泉所得税処理は、従来から多くの企業は「仮払金」「仮払法人税等」「租税公課」「未払法人税」等で処理されていました。そして法人税確定申告書を作成して法人税が確定してから棚上げしていた所得税額を 「法人税、住民税及び事業税」又は「未収入金」に振替えていましたが、楽々法人税で法人税確定申告書を作成する場合は、弥生会計から決算データをエキスポート(書出し)する前に、次のようにして処理下さい。
「仮払金」「仮払法人税等」「租税公課」「未払法人税」等に棚上げして奥のではなく、全て下記の通り「法人税、住民税及び事業税」に振替えてから、弥生の決算データをエキスポートしてください。
→ 借)「法人税、住民税及び事業税」 000 |貸)受取利息 000
◆受取利息の雑収入処理の進め
楽々法人税では受取利息や受取配当金がある場合は自動的に税額控除の処理を行っておりますが、昨今の低金利では受取利息の額も少なく税額控除の額の100円以下のケースも多く見受けられます。これらの小額を控除してもらうために複雑な会計処理を要求されています。
受取配当金がなく、受取利息も少ない場合は、むしろ税額控除を請求しない(申告しない)方法を選択されるべきと考えます。この申告しない方法は利息を受取った時点で、受取った金額を雑収入として処理してください。
※楽々法人税では、受取った金額を受取利息で処理しますと自動的に税額控除します。
※税額控除の請求をする/しないは法人の自由です。
※受取配当金が有る場合は、控除額が大きくなりなすので税額控除されることをお勧めします。
◆税額控除の処理方法について
税額控除(受取利息や受取配当金)の会計処理方法について一般的な例を挙げて説明しましたが、会計処理と法人税算出処理の違いや受取時点での会計処理の違いなどが、この税額控除を大変複雑にしております。
楽々法人税ではこれらの複雑さを取り除くために利息や配当金の受取時点で(法人税の確定を待たずに)所得税額分を直接「法人税住民税及び事業税」に振替えて法人税の前払い処理とすることも推奨しています。そして法人税額等で控除所得税額の場合は、未収入金に振替えるよう振替伝票を作成し印刷します。
中間法人税等の仕訳処理について
前期法人税の年税額が20万円を超えた場合に、今期の中間で中間納税が義務付けられています。申告の方法には「予定申告」と「中間申告」(中間申告とは上期6ヶ月だけで仮決算を行い確定申告と同様の申告を行って納税する方法)の2通りがあります。この中間申告をしない法人は自動的に予定申告とみなされて、前年度年税額の1/2を納付することになります。
そしてこれらの納付も下記①になることを予測して先払いしますが、下記②になることも考えられます。
①.中間法人税等 × 2 ≒ 確定法人税等
②.中間法人税等 > 確定法人税等
よってこれら中間法人税等の支払を一旦仮払で処理し、税額が確定後に仮払金を「法人税、住民税及び事業税」に振替えるか、②の場合は控除しきれなかった分を未収入金に振替、還付申請します。
しかしこれらの処理も前記した受取利息や株式配当金の所得控除と同じように、中間納付時点で「法人税、住民税及び事業税」で処理するべきと思います。もし上記②の状況になった場合には控除しきれなかった分を「法人税、住民税及び事業税」から「未収入金」に振替て、還付請求するべきでしょう。以下その具体的処理を説明します。
納 付 時 |
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確 定 時 / プ ラ ス |
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確 定 時 / ゼ ロ の 場 合 |
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