使い方
欠損金の繰戻還付制度について
法人税法の課税は、もともと事業年度単位を原則としていますが、企業育成の観点から、一定の要件のもとに、事業年度間の損益を通算して税を軽減する制度が設けられています。
その最も代表的な制度は、「欠損金の繰越控除制度」が上げられます。これは、青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金額を繰り越して、以降の7年間にわたり生じたプラスの所得金額から控除し、法人税負担を軽減する制度です。
これに対して「欠損金の繰戻還付制度」は、欠損金が生じた事業年度の前事業年度で(生じた所得に対して)支払った法人税の繰戻し還付を受けられる制度です。しかしこの制度は、バブル崩壊による税収不足を補う目的で、平成4年以降は原則適用停止とされていました。
ところが今回の平成21年度税制改正では、この「欠損金の繰戻還付制度」を再度適用されることになりました。ただしこの制度は法人税のみで、地方税には還付を受ける制度はありません。
楽々法人税の対応について
「楽々法人税 」では、この「欠損金の繰戻し還付制度」を次のように対応しました。
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「決算情報」画面の未払法人税納付額 + 中間納付額 > 0 で、 かつ 当期の税引前損益 < 0 の場合、自動的に「欠損金繰戻の還付請求」画面が表示され、次の金額を設定します。
- 前年度の所得金額・・・・・・・・前年度の別表一(一)の1
- 前年度の控除額・・・・・・・・・・前年度の別表一(一)の12
- 前年度納受法人税額・・・・・・前年度の別表一(一)の13
- 「法人税確定申告書作成」画面の[法人税確定申告書一括印刷]ボタンを押すと他の申告書類と一緒に「欠損金の繰戻し還付請求書」が印刷され、同時に別表一(一)や別表七(一)にも対応されて印刷されます。
この制度を受ける際には税務調査が行なわれる可能性があり、実務解説本にも企業経営者にとって、この精神的負担が当制度の活用を疎外しているとの指摘もあります。確認の意味で国税庁の電話相談や税務署(2箇所)に問い合わせましたが調査のあることは否定しませんが「調査といっても電話でお尋ねする程度です。」「必ずしも税務調査が行なわれているわけではありません」との答えでした。例え税務調査があったとしても普段から適切な経理処理をされていれば、何ら心配のないところだと思います。